出会った頃の記憶は、曖昧になってしまった。
あのSNSは退会してしまったので、ますます記憶は曖昧だ。
同い年ということもあり、県内にも住んでいたことのある君。
会ったことはなかったが、文面に人の良さが滲み出ていた。
何年か前に「再発しちゃった」と連絡をもらったときは、ただ、静かに受け止めた。
それからの君は前向きに治療に挑み、様々な薬を体内に入れる。
賛否両論あるが、どんな生き方も自分が決めるしかない。
そして君は、選択ができる力のある人だ。
どの道を選んでも、それが君にとっての最良だと私は思っている。
何回か年賀状のやりとりをし、お互いの近況を報告しあう。
病状が厳しい報告も受けてはいたが、いつかは会える気がしていた。
ある日、
「ホスピスに入ることにしたよ、今、順番待ち」と、
いつものように努めて明るく、君は最後の連絡をくれた。
「治療法がないと言われたら、潔く決めようと思っていた」
「障害年金のこと教えてくれてありがとう、助かったよ」
「病人としてじゃなく、人として接してくれてありがとう」
「ソーシャルワーカーって、すごいね」
「これからも仕事、頑張って」
「まだまだ死ぬ気はないけれど、今までありがとう」
手紙では間に合わないと急いでメールをしたが返事はなかった。
引っ越しを済ませ、携帯電話を解約し、旅立つ準備をしたのだろう。
信じたくはないが、知っている。
君はもう旅立っている。
夕焼けが教えてくれた。